乾癬とは慢性の皮膚疾患で、人によって症状や発症する場所が異なりますが、典型的な症状として、皮膚から少し盛り上がった[浸潤・肥厚(しんじゅん・ひこう)]赤い発疹[紅斑(こうはん)]の上に銀白色のフケのようなもの[鱗屑(りんせつ)]が付着し、ポロポロとはがれ落ちる皮膚の病気です。
国内の患者数は10万人(1000人に1人)以上といわれており、「かんせん」という名前から誤解されやすいのですが、他の人に感染する疾患ではありません。
日常生活で気を付けること
乾癬の悪化の原因といわれるものには、「気候変化」、「ストレス」、「生活習慣」などがあります。
@ 気候変化
冬になると、皮膚が乾燥し日光を浴びる機会も減るため、乾癬は悪化しやすいといわれています。
対策としては日光浴やスキンケアなどでバリア機能(保湿)を整えることが重要です。
A ストレス
ストレスは乾癬を悪化させる大きな要因です。できるだけ明るく前向きな気持ちで過ごすよう努めましょう。
夢中になれる趣味を持つこと、散歩やスポーツなどで気分転換を図ることなども効果的です。
B 生活習慣
規則正しい生活を心がけることが重要です。
食生活としては、肉類や脂肪分のと りすぎは、乾癬を悪化させるといわれていますので魚類を中心としたものを積極的にとるようにしましょう。
入浴時にはゴシゴシ洗いを避け、ぬるめのお湯につかることでかゆみも防ぐことができます。また、衣服で肌がこすれると悪化の原因になりますので、ゆったりとしたものを身につけましょう。
乾癬の治療方法
具体的には4つの方法があります。
@ 外用療法(塗り薬)
ステロイド外用剤と活性型ビタミンD3外用剤、およびそれらの配合薬があり、乾癬の皮膚症状を抑えるために使用されます。
皮膚症状のある部位に的した剤型(軟膏・クリーム等)が選択されます。
A 光線療法(紫外線照射)
光線療法は、特殊な紫外線を照射して乾癬の皮膚症状を改善する治療法です。長い波長や中くらいの波長が用いられ、広範囲もしくは部位を特定して照射するなどの治療法があります。
◆ ナローバンド紫外線照射器
1)全身型
2)ターゲット型
@Vトラック
Aセラビームミニ
当院ではあらゆる照射部位に対応しています。
B 内服療法(飲み薬)
ビタミンA誘導体、免疫抑制薬および炎症の原因となっている酵素を阻害する薬があり、関節の痛みやこわばりを和らげたり、乾癬の皮膚症状を抑えたりするために使用されます。
今年3月よりアプレミラストが保険適応となりより安全に内服治療ができるようになりました。
C 生物学的製剤(注射または点滴)
乾癬で免疫の異常をもたらしている物質に直接作用し、その物質の働きを抑える薬です。
もともと体内で免疫をつかさどる「抗体」の働きを利用した薬剤です。認識した特定のターゲットに選択的に作用します。
これまでの治療(外用療法、光線療法、内服療法)では十分な効果が得られず、皮膚症状(皮疹)が体表面積の10%以上を占めており日常生活に大きな支障のある患者さんが対象です。
当院は日本皮膚科学会認定の生物学的製剤承認施設であり、高価な治療法ですが、高額医療費制度により医療費負担が少なくなる場合などがありますので、お気軽にご相談下さい。
乾癬でお悩みになっている患者さんのQOL向上に貢献したいと考えています。
患者さんの症状やライフスタイルに合わせて、これらの治療方法を単独で用いたり、組み合わせたりします。一般的には外用療法から始め、効果が十分でない場合に光線療法、内服療法、生物学的製剤へと進めていきます。
どんな薬にもメリット・デメリットがあるため、医師とよく相談の上、治療を進めていくことが大切です。