飛蚊症というとそれがひとつの病気のように思っている方もいるかもしれませんが、飛蚊症は眼底疾患における代表的な症状のひとつに過ぎません。つまり、飛蚊症そのものが病気なのではなく、何かしらの眼底疾患によって起こっている症状のひとつなのです。眼底というのは、文字通り、目の底です。瞳孔のさらに奥にあるのが眼底です。ここに問題が起こると、眼底疾患ということになります。

飛蚊症は黒いものや糸くずのようなものが飛んでいるように見えるのですが、眼底疾患ではこの飛蚊症を含めて視界に異常が起こります。視界がゆがむ、視野に欠損が起こる、光が走って見える、視力の低下、ものの大きさが正しく見えない、ものの色が正しく見えないといったことが起こるようになります。眼底疾患として何が起こっているのかによって、症状も違ってきますので注意しておきましょう。

飛蚊症などを伴う眼底疾患の原因は実にさまざまです。加齢によって起こることもありますし、網膜の障害によって起こることもあります。眼底疾患というと目だけに原因があると思われがちなのですが、実は体の別の部分の不調によって引き起こされることもあります。生活習慣の乱れや悪化などから眼底疾患を起こすこともありますので、「視力がいいから安心」とは言い切れない疾患です。

眼底検査では眼底にある血管や網膜、視神経を調べていきます。直像検査法や倒像検査法、細隙灯顕微鏡による眼底検査、OCT検査、眼底カメラなどいくつかの方法があります。腕の血管から造影剤を注射して、血管の異常を見つける蛍光眼底検査というものもあります。こういった眼底検査をおこなうことによって、どのような疾患が発生しているのかを診断していきます。

眼底疾患の治療はさまざまです。緊急性のある疾患も多いですので、不安なまま様子を見るのではなく、異常のない飛蚊症（生理的なもの）であるかどうか、きちんと眼底検査を受けましょう。
自分でできることは、普段から片目を隠して、片目ではどんな見え方をするか確認しておくことです。普段でもどのくらい飛蚊症があるのかなとか、ゆがんで見えないかなとか、影がないかなとか見ておくのです。そうすると、なにかおかしいと思った時、すぐに片目づつ隠してみることができます。どちらの目がどういう風におかしいのか、はっきりとわかります。2秒もあればできることですので、是非、ためしてみてくださいね。