汗の季節に増える多汗症のご相談|脇汗・手汗の治療について

堺市の皮膚科・美容皮膚科・眼科の皮ふ科眼科くめクリニックです。気温が上がってくると、「脇汗が服にしみる」「手汗で紙やスマートフォンが濡れる」「人前で汗が気になる」といったご相談が増えてきます。

汗は体温調節に必要な大切な働きですが、日常生活に支障が出るほど汗が多い場合は、多汗症として治療の対象になることがあります。日本皮膚科学会の原発性局所多汗症診療ガイドラインでも、多汗症治療の目的は「汗を完全になくすこと」ではなく、汗によって損なわれている生活の質を改善することとされています。

目次

多汗症は「気にしすぎ」ではありません

多汗症の方は、次のようなお悩みを抱えていることがあります。

・シャツの脇に汗じみができる
・制汗剤を使っても汗が気になる
・人前で手を出すのが気になる
・書類やプリントが手汗で濡れる
・スマートフォンやタブレットが滑る
・汗が気になって仕事、学校、外出に集中しにくい

「汗っかきだから仕方ない」と思われがちですが、現在は脇汗や手汗に対して保険診療で使える外用薬が増えています。

脇汗の治療薬|エクロックゲル・ラピフォートワイプ

脇の多汗症は、医学的には原発性腋窩多汗症と呼ばれます。現在、原発性腋窩多汗症に対しては、外用の抗コリン薬であるエクロックゲルラピフォートワイプが治療選択肢になります。

エクロックゲルとは

エクロックゲルは、有効成分ソフピロニウム臭化物を含む、原発性腋窩多汗症の治療薬です。1日1回、腋窩に塗布して使用します。PMDAの添付文書では、効能・効果は「原発性腋窩多汗症」、用法は「1日1回、適量を腋窩に塗布する」とされています。

エクロックゲルは、汗腺にあるムスカリン受容体を介した反応を抑えることで、発汗を抑えると考えられています。

ラピフォートワイプとは

ラピフォートワイプは、有効成分グリコピロニウムトシル酸塩水和物を含む、原発性腋窩多汗症の治療薬です。1日1回、1包に入っている不織布1枚で薬液を両脇に塗布して使用します。

ワイプタイプなので、外用薬を手に取りにくい方にも使いやすい場合があります。作用としては、汗腺細胞のムスカリンM3受容体に関係するアセチルコリンの働きを抑え、発汗を抑えるとされています。

手汗の治療薬|アポハイドローション

手の多汗症は、医学的には原発性手掌多汗症と呼ばれます。手汗は、仕事や勉強、スマートフォン操作、楽器演奏、スポーツ、人との握手など、生活のさまざまな場面で困りごとにつながります。

アポハイドローションは、有効成分オキシブチニン塩酸塩を含む、原発性手掌多汗症の治療薬です。PMDAの添付文書では、効能・効果は「原発性手掌多汗症」、用法は「1日1回、就寝前に適量を両手掌全体に塗布する」とされています。

アポハイドローションも、エクリン汗腺に発現するムスカリン受容体に対して抗コリン作用を示し、汗を抑えると考えられています。

3つの薬の違い

薬剤名主な対象部位剤型・使い方の特徴
エクロックゲル原発性腋窩多汗症脇汗ゲルを腋窩に塗布
ラピフォートワイプ原発性腋窩多汗症脇汗ワイプで両脇に塗布
アポハイドローション原発性手掌多汗症手汗就寝前に両手掌へ塗布

どの薬が合うかは、汗の部位、症状の強さ、生活スタイル、年齢、持病、使用中のお薬などによって異なります。

使用時に注意が必要なこと

これらの薬は、いずれも「汗を抑える」方向に働く薬です。そのため、暑い環境や運動時など、体温が上がりやすい状況では注意が必要です。ラピフォートワイプやアポハイドローションの添付文書では、発汗が促進される環境下で体温が上昇するおそれがあり、熱中症を疑う症状がある場合は適切な対応を行うよう注意が記載されています。

また、閉塞隅角緑内障、排尿障害、前立腺肥大症、皮膚炎や傷がある部位への使用など、注意が必要な場合があります。自己判断で使用を始めるのではなく、診察時に持病や内服薬をお伝えください。

受診の目安

次のような方は、一度皮膚科でご相談ください。

・脇汗が服にしみて困る
・市販の制汗剤では十分に改善しない
・手汗で仕事、勉強、スマホ操作に支障がある
・緊張すると汗が増えて人前がつらい
・汗の量が多く、生活の質が下がっている
・脇汗、手汗に使える保険診療の薬を相談したい

多汗症は、症状の程度や部位を確認しながら、治療を選んでいくことが大切です。エクロックゲル、ラピフォートワイプ、アポハイドローションはいずれも、診断や重症度評価をふまえて処方を検討する薬です。エクロックゲルとラピフォートワイプでは、保険給付上、原発性腋窩多汗症の確定診断やHDSSの記載が必要とされています。

よくある質問

多汗症は夏だけ治療すればよいですか?

夏に症状が強くなる方は多いですが、緊張、仕事、学校、衣類、室内環境などで一年を通して困っている方もいます。症状がつらい時期だけ相談される方も、年間を通して治療を続ける方もおられます。

脇汗の薬と手汗の薬は同じですか?

同じ抗コリン作用を利用した外用薬でも、対象となる部位や使い方が異なります。エクロックゲルとラピフォートワイプは主に脇汗、アポハイドローションは手汗に使う薬です

汗のにおいにも効きますか?

これらの薬の主な目的は、汗の量を抑えることです。汗の量が減ることで汗じみや蒸れが軽くなる可能性はありますが、においが主な悩みの場合は、腋臭症など別の状態が関係していることもあります。診察時に「汗の量が気になるのか」「においが気になるのか」を分けて相談すると、治療方針を立てやすくなります。

子どもでも使えますか?

薬によって臨床試験が行われている年齢や注意点が異なります。エクロックゲルでは12歳未満の小児等を対象とした国内臨床試験は実施されていないと記載され、ラピフォートワイプでは9歳未満、アポハイドローションでは12歳未満の小児等を対象とした臨床試験は実施されていないと記載されています。


汗の季節、がまんせずにご相談ください

暑くなる季節は、脇汗や手汗の悩みが表面化しやすい時期です。
「汗じみが気になる」「手汗で困っている」「多汗症の薬を試してみたい」という方は、皮膚科でご相談ください。

皮ふ科眼科くめクリニックは、大阪府堺市の皮膚科・美容皮膚科・眼科のクリニックです。土曜日午後・日曜日診療にも対応しています。
汗の悩みは、毎日の生活の質に関わります。気になる症状があれば、早めにご相談ください。


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