堺市で手汗・原発性手掌多汗症の治療|手のひらの汗を皮膚科で相談

堺市の皮膚科・美容皮膚科の皮ふ科眼科くめクリニックです。
皮膚科専門医が在籍しています。最新の医療から往診まで、地域に根差した医療を20年以上続けています。土曜日の午後・日曜日の診療も行い、地域の皆さまが相談しやすい診療体制を大切にしています。

「手汗で紙が濡れる」
「スマートフォンやタブレットが操作しにくい」
「ペンが滑って字が書きにくい」
「人と握手するのが不安」
「試験、仕事、面接、発表のときに手汗が気になる」
「手のひらの汗で学校生活や仕事に支障がある」

このようなお悩みは、原発性手掌多汗症かもしれません。

手汗は「体質だから仕方がない」と思われがちですが、生活に支障がある場合は皮膚科で相談できる病気です。原発性手掌多汗症では、手のひらに過剰な汗が出ることで、勉強、仕事、人間関係、スポーツ、楽器演奏、スマートフォン操作など、さまざまな場面で困りごとが起こります。


目次

原発性手掌多汗症とは

原発性手掌多汗症とは、明らかな原因となる病気がないにもかかわらず、手のひらに過剰な汗が出て、日常生活に支障をきたす状態です。

多汗症には、全身に汗が増えるタイプと、手のひら・足の裏・脇・顔など限られた部位に汗が増えるタイプがあります。原発性手掌多汗症は、局所性多汗症のうち、主に手のひらに症状が出るものです。

日本皮膚科学会の原発性局所多汗症診療ガイドラインでは、局所的な過剰発汗が明らかな原因なく6か月以上続き、25歳以下での発症、左右対称、睡眠中は発汗が止まる、週1回以上の多汗エピソード、家族歴、日常生活への支障などを診断の参考にするとされています。


このような手汗の症状はありませんか?

お悩み具体例
紙が濡れるノート、プリント、答案用紙、書類が湿る
ペンが滑る勉強、仕事、署名、記入がしにくい
スマホが操作しにくい画面が反応しにくい、指紋認証がうまくいかない
握手が不安人と手をつなぐ、握手する、接客する場面が気になる
仕事に支障があるパソコン、マウス、工具、紙資料、医療・美容・接客業務で困る
学校生活に支障がある試験、授業、部活動、楽器、体育で困る
緊張で悪化する発表、面接、会議、人前で手汗が増える
皮膚トラブルがある手がふやける、皮むけ、湿疹、かぶれが出る

手汗は、見た目では周囲に伝わりにくい一方で、ご本人にとっては大きな負担になります。特に、学生さんや若い方では、試験、部活動、友人関係、進学・就職活動に影響することがあります。


原発性手掌多汗症の原因

原発性手掌多汗症のはっきりした原因は完全には分かっていません。
汗を出す指令は自律神経の働きと関係しており、緊張や不安で悪化することもありますが、精神的な問題だけで起こる病気ではありません

「緊張しやすいから」「気にしすぎだから」と片づけてしまうと、治療の機会を逃してしまうことがあります。日常生活に支障がある手汗は、皮膚科で相談してよい症状です。


原発性手掌多汗症と、ほかの病気による汗の違い

手汗が多い場合でも、すべてが原発性手掌多汗症とは限りません。

次のような場合は、ほかの病気や薬剤の影響も確認します。

  • 急に汗が増えた
  • 手だけでなく全身に汗をかく
  • 夜間の寝汗が強い
  • 動悸、体重減少、発熱がある
  • 甲状腺の病気を指摘されたことがある
  • 新しく薬を飲み始めてから汗が増えた
  • 左右差が強い
  • 手汗以外の神経症状がある

診察では、発症時期、左右差、睡眠中の発汗、家族歴、日常生活への支障、持病や内服薬などを確認します。


重症度の目安:HDSSスコア

多汗症では、HDSSという4段階の重症度評価がよく使われます。日本皮膚科学会のQ&Aでは、HDSSの3・4を重症の指標としています。

HDSS自覚症状
1発汗は全く気にならず、日常生活に全く支障がない
2発汗は我慢できるが、日常生活に時々支障がある
3発汗はほとんど我慢できず、日常生活に頻繁に支障がある
4発汗は我慢できず、日常生活に常に支障がある

手汗の治療では、「汗を完全にゼロにする」ことが目的ではなく、紙が濡れる、ペンが滑る、人と手を合わせにくいなどの生活上の困りごとを減らすことが大切です。


原発性手掌多汗症の治療

原発性手掌多汗症の治療は、症状の強さ、生活への支障、年齢、皮膚の状態、続けやすさに合わせて選びます。

日本皮膚科学会の2023年改訂ガイドラインでは、原発性手掌多汗症の治療として、外用抗コリン薬、水道水イオントフォレーシス、塩化アルミニウム外用、A型ボツリヌス毒素局注、内視鏡的胸部交感神経遮断術などが整理されています。


1. 外用抗コリン薬:アポハイドローション

原発性手掌多汗症では、**アポハイドローション20%**という外用薬が治療選択肢になります。
アポハイドローションは、オキシブチニン塩酸塩を有効成分とする原発性手掌多汗症治療剤です。添付文書上の効能・効果は「原発性手掌多汗症」で、1日1回、就寝前に両手掌全体へ塗布する薬です。

汗は、神経からの指令によってエクリン汗腺から出ます。アポハイドローションは、汗を出す指令に関係するアセチルコリンの働きを抑えることで、手のひらの発汗を抑えることが期待されます。

使用時の注意

  • 就寝前に両手のひらへ塗ります。
  • 目に入らないよう注意します。
  • 起床後、手を洗うまでは目などに触れないようにします。
  • 塗った後に手袋などで密封しないようにします。
  • 手に湿疹、傷、皮膚炎がある場合は、先に皮膚の状態を整えることがあります。
  • 閉塞隅角緑内障、排尿障害、重い心疾患、腸閉塞、重症筋無力症などがある方では使用できない場合があります。

副作用として、塗布部位の皮膚炎、かゆみ、湿疹、口の渇きなどが報告されています。国内第III相比較試験では、4週時点で発汗量が50%以上改善した患者さんの割合が、アポハイドローション群でプラセボ群より高かったことが報告されています。


2. 水道水イオントフォレーシス

水道水イオントフォレーシスは、手のひらを水に浸し、弱い電流を流すことで発汗を抑える治療です。手掌多汗症ではガイドライン上も治療選択肢として位置づけられています。

継続的な通院や機器の使用が必要になるため、通いやすさ、治療頻度、生活スタイルに合わせて検討します。


3. 塩化アルミニウム外用

塩化アルミニウムは、汗の出口に作用して発汗を抑える目的で使われる外用治療です。手掌多汗症では、単純外用や密封療法が検討されることがあります。

ただし、刺激感、赤み、かゆみ、かぶれなどが出ることがあります。手荒れや湿疹がある方ではしみることもあるため、皮膚の状態を見ながら使用を検討します。


4. A型ボツリヌス毒素注射

手掌多汗症では、A型ボツリヌス毒素注射が治療選択肢になることがあります。日本皮膚科学会のQ&Aでは、手のひらや脇に局所注射すると汗の量が減少し、効果が約6か月持続すると説明されています。一方で、手掌へのボツリヌス毒素注射は日本でも欧米でも保険適用ではなく、注射時の痛みや一時的な筋力低下が問題になることがあります。

実施の可否、費用、痛み対策、手を使う仕事への影響については、診察時に十分に確認する必要があります。


5. 内視鏡的胸部交感神経遮断術:ETS

重症で、保存的治療に抵抗性があり、患者さんご本人の強い希望がある場合、内視鏡的胸部交感神経遮断術、いわゆるETSが検討されることがあります。

ただし、ETSでは手汗が改善する可能性がある一方で、背中・胸・腹部・太ももなど別の部位の汗が増える代償性発汗が問題になることがあります。日本皮膚科学会のQ&Aでも、ETSはほかの治療で効果がない場合に適応となり、代償性発汗などの合併症への対策が必要とされています。


当院での診療の流れ

1. 問診

手汗が気になり始めた時期、汗の量、左右差、睡眠中の汗、家族歴、学校や仕事での困りごとを確認します。

2. 診察

手のひらの皮膚の状態を確認します。湿疹、手荒れ、かぶれ、傷がある場合は、多汗症治療とあわせて皮膚の治療も検討します。

3. 重症度の確認

HDSSを参考に、手汗が日常生活にどの程度支障をきたしているかを確認します。

4. 治療方法のご提案

症状や生活スタイルに合わせて、外用薬、スキンケア、生活上の工夫、必要に応じた追加治療を検討します。

5. 経過確認

治療を開始した後は、手汗の量、紙やスマホ操作の困りごと、副作用の有無、皮膚の状態を確認しながら調整します。


早めの受診をおすすめする方

次のような方は、一度皮膚科でご相談ください。

  • 手汗で紙やノートが濡れる
  • 試験や仕事中にペンが滑る
  • スマホやパソコン操作に支障がある
  • 人と手をつなぐ、握手することが不安
  • 接客、医療、美容、介護、調理、楽器、スポーツなどで手汗が困る
  • 学校生活や仕事に支障がある
  • 手荒れや湿疹を繰り返す
  • 手汗だけでなく、足汗や脇汗も気になる
  • 急に汗が増えた
  • 動悸、体重減少、発熱、寝汗などもある

よくある質問

手汗は病気ですか?

汗をかくこと自体は正常な体の働きです。しかし、手汗が多すぎて紙が濡れる、スマホが使いにくい、握手が不安、仕事や学校生活に支障がある場合は、原発性手掌多汗症として治療を検討できます。

原発性手掌多汗症は保険で治療できますか?

診察で原発性手掌多汗症と診断され、適応や禁忌を確認したうえで、保険適用の外用薬を検討できる場合があります。実際に使用できるかどうかは、年齢、持病、内服薬、皮膚の状態などを確認して判断します。

アポハイドローションはどのような薬ですか?

アポハイドローション20%は、原発性手掌多汗症に使われる外用薬です。オキシブチニン塩酸塩を有効成分とし、1日1回、就寝前に両手のひらへ塗布します。

手汗にエクロックゲルやラピフォートワイプは使えますか?

エクロックゲルやラピフォートワイプは、主に原発性腋窩多汗症、つまり脇汗の治療薬です。手掌多汗症では、手汗に適応のある治療薬や治療方法を検討します。

手に湿疹や手荒れがあっても治療できますか?

手に湿疹、傷、皮膚炎、強い手荒れがある場合は、外用薬で刺激や副作用が出やすくなることがあります。まず皮膚の炎症を治療してから、多汗症治療を検討することがあります。

緊張すると手汗が増えるのですが、精神的な問題ですか?

緊張で手汗が増えることはありますが、原発性手掌多汗症は「気にしすぎ」だけで起こるものではありません。日常生活に支障がある場合は、皮膚科で相談してよい症状です。

手汗の治療で完全に汗は止まりますか?

治療の目的は、汗を完全にゼロにすることではなく、手汗による生活の支障を減らすことです。効果には個人差がありますが、紙が濡れる、ペンが滑る、人と手を合わせにくいなどの困りごとの軽減を目指します。

汗と足汗、脇汗もあります。まとめて相談できますか?

はい。原発性局所多汗症では、手のひら、足の裏、脇、顔など複数の部位に症状が出ることがあります。部位によって使える薬や治療法が異なるため、気になる部位をまとめてご相談ください。


まとめ

手汗は、単なる体質として我慢されがちですが、生活に支障がある場合は原発性手掌多汗症という治療対象の病気である可能性があります。

紙が濡れる、スマホが使いにくい、握手が不安、仕事や学校に支障があるなどのお悩みがある方は、皮膚科で相談することで、症状に合った治療を検討できます。

堺市で手汗・手掌多汗症・原発性手掌多汗症にお悩みの方は、皮ふ科眼科くめクリニックにご相談ください。

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