乾癬の皮疹が広がってきた、塗り薬やこれまでの治療だけでは改善が不十分、注射による治療を検討したいという方へ。
トルツは、乾癬領域に使われる生物学的製剤です。炎症に関わる働きを調整することで、皮疹や関節症状の改善を目指します
堺市の皮ふ科眼科くめクリニックでは、皮膚科専門医が在籍し、最新の医療から往診まで地域に根差した医療を20年以上続けています。
また、トルツは当院で治験に関わった薬剤でもあります。診察では、現在の症状やこれまでの治療経過を確認しながら、患者さんに合った治療かどうかを丁寧に判断します。
※トルツには皮膚科以外の承認適応もありますが、このページでは皮膚科でご相談の多い乾癬領域を中心にご案内しています。
トルツはどのようなお薬ですか
トルツは、イキセキズマブを有効成分とする注射薬です。
**インターロイキン17A(IL-17A)**の働きを抑えることで、乾癬の炎症を落ち着かせ、皮膚症状や関節症状の改善を目指します。
塗り薬や飲み薬とは異なる仕組みで働くため、既存治療で十分な改善が得られない場合の治療選択肢になります。
トルツの適応
トルツの効能又は効果は、次のとおりです。
- 既存治療で効果不十分な尋常性乾癬
- 既存治療で効果不十分な乾癬性関節炎
- 既存治療で効果不十分な膿疱性乾癬
- 既存治療で効果不十分な乾癬性紅皮症
尋常性乾癬で使う場合
次のいずれかに当てはまる場合に使われます。
- 光線療法を含む既存の全身療法(生物製剤を除く)で十分な効果が得られず、皮疹が体表面積の10%以上に及ぶ場合
- 難治性の皮疹がある場合
乾癬性関節炎・膿疱性乾癬・乾癬性紅皮症で使う場合
難治性の皮疹、関節症状、膿疱などがあり、既存治療で十分な改善が得られない場合に検討されます。
当院とトルツ
当院は、トルツの治験に関わった経験があります。
そのため、治療の流れや注意点、副作用への配慮も含めて、患者さん一人ひとりの状態に合わせたご相談を大切にしています。
ただし、すべての方にこの治療が最適というわけではありません。
診察では、乾癬の重症度、これまでの治療、感染症の有無、結核の既往、炎症性腸疾患の有無、妊娠の可能性、授乳中かどうかなどを確認しながら、総合的に判断します。
トルツの適応年齢
トルツの添付文書では、通常、成人に対する用法用量が定められています。
一方で、小児等を対象とした臨床試験は実施されていません。
そのため、ホームページでは、基本は成人を対象とした乾癬治療としてご案内するのが分かりやすいです。
高齢の方では、感染症などの副作用に留意しながら、十分に観察して使用します。
トルツの用法用量
基本の用法用量
乾癬領域では、通常、初回に160mgを皮下注射し、2週後から12週後までは1回80mgを2週間隔で皮下注射し、以降は1回80mgを4週間隔で皮下注射します。
用法用量のまとめ
| 時期 | 1回量 | 投与間隔 |
|---|---|---|
| 初回 | 160mg | 初回のみ |
| 2週後〜12週後 | 80mg | 2週間ごと |
| 以降 | 80mg | 4週間ごと |
12週時点で効果が不十分な場合
12週時点で効果が不十分な場合は、以降も80mgを2週間隔で投与できるとされています。
ただし、12週以降に2週間隔投与で効果が得られた場合は、4週間隔投与への変更を検討します。
効果の見直し時期
トルツは、通常、投与開始から20週以内に治療反応が得られるとされています。
20週以内に十分な治療反応が得られない場合は、治療計画の継続を慎重に再考します。
自己注射について
トルツは、医療機関で投与するほか、適切な在宅自己注射教育を受けた患者さんまたはご家族は、自己注射できる場合があります。
自己注射を始める前には、医師または看護師から、注射の方法、注意点、使用済み器具の廃棄方法について十分な説明を受けます。
自己注射のときのポイント
- 注射30分前に冷蔵庫から取り出し、直射日光を避けて室温に戻します
- 大腿部、腹部、上腕部に注射します
- 同じ部位に続けて注射する場合は、毎回少しずつ場所を変えます
- 皮膚が敏感な部位、傷、発赤、硬結がある部位、乾癬の病変部位には注射しません
- 1回に全量を使用し、再利用しません
- 160mg投与する場合は80mg製剤を2本使用します
使用前に確認していること
次のような場合は、受診時に必ずご相談ください。
- 感染症がある方、または感染症が疑われる方
- 過去に結核にかかったことがある方
- 結核感染が疑われる方
- 炎症性腸疾患がある方
- 妊娠中、または妊娠している可能性がある方
- 授乳中の方
- 過去にこの薬の成分でアレルギー症状が出たことがある方
治療開始前には、必要に応じて問診、胸部X線検査、インターフェロンγ遊離試験、ツベルクリン反応検査、胸部CT検査などを行い、結核感染の有無を確認します。
使用中に気をつけること
トルツは、感染症にかかりやすくなる可能性があります。
発熱、寒気、体がだるいなどの症状がある場合は、早めにご相談ください。
また、使用中は次のような点にも注意が必要です。
- 結核の発症に注意が必要です
- 定期的に胸部X線検査などを行うことがあります
- 生ワクチンは接種できません
- 他の生物学的製剤との併用は避けます
- この薬は病気を完治させる薬ではありません
- 他院を受診する際は、トルツを使用中であることを伝えてください
臨床試験では、皮膚および皮膚以外の悪性腫瘍の発現も報告されています。因果関係は明確ではありませんが、注意しながら経過をみていきます。
妊娠・授乳について
妊婦さん、または妊娠している可能性がある方には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与します。
授乳中の方は、治療上の有益性と母乳栄養の有益性を考慮して、授乳の継続または中止を検討します。
妊娠中や授乳中の方は、受診時に必ずご相談ください。
副作用について
トルツでは、重篤な感染症、重篤な過敏症反応、好中球減少、炎症性腸疾患、間質性肺炎に注意が必要です。
比較的みられる副作用としては、次のようなものがあります。
- 上気道感染
- 白癬感染
- 口腔カンジダ症
- 鼻炎
- 結膜炎
- 口腔咽頭痛
- 悪心
- 蕁麻疹
- 注射部位反応
早めに相談したい症状
次のような症状がある場合は、早めに医療機関へご相談ください。
- 発熱
- 寒気
- 体がだるい
- 喉の痛み
- 咳、息切れ、息苦しさ
- 強いかゆみ
- じんましん
- 発疹
- 腹痛
- 下痢
- 血便
- ふらつき
- 汗をかく
- 口のまわりの腫れ
このような方はご相談ください
- 乾癬の皮疹が広い範囲に及んでいる方
- 光線療法や既存の全身療法で十分な効果が得られなかった方
- 難治性の乾癬でお困りの方
- 乾癬性関節炎の治療について相談したい方
- 注射による治療を検討したい方
- トルツが自分に合うか知りたい方
よくあるご質問
- トルツは何歳から使えますか
-
添付文書では、通常、成人に対する用法用量が定められています。
小児等を対象とした臨床試験は実施されていません。 - どのような乾癬に使いますか
-
既存治療で効果不十分な尋常性乾癬、乾癬性関節炎、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症に使います。
光線療法を含む既存治療で十分な効果が得られず、皮疹が広い範囲に及ぶ場合や、難治性の皮疹・関節症状・膿疱がある場合に検討されます。 - どのくらいの間隔で注射しますか
-
通常は、初回160mg、2週後から12週後までは80mgを2週間ごと、その後は80mgを4週間ごとです。
- 自己注射はできますか
-
適切な在宅自己注射教育を受けた場合は、自己注射できることがあります。
開始前には、必ず医師または看護師から十分な説明を受けます。 - どのくらいで効果が分かりますか
-
通常、20週以内が一つの目安です。
十分な反応が得られない場合は、治療方針を見直します。 - 生ワクチンは受けられますか
-
使用中は生ワクチンを接種できません。
接種が必要な場合は、事前に医師へご相談ください。