アトピー性皮膚炎や結節性痒疹、慢性じんましん、水疱性類天疱瘡などで、これまでの治療だけでは十分な改善が得られずお困りの方へ。
デュピクセントは、炎症に関わる働きを調整する注射のお薬です。皮膚科では、症状の強い患者さんに対して次の治療を考える際の選択肢の一つになります。
堺市の皮ふ科眼科くめクリニックでは、皮膚科専門医が在籍し、最新の医療から往診まで地域に根差した医療を20年以上続けています。
また、デュピクセントは当院で治験に関わった薬剤でもあります。診察では、現在の症状やこれまでの治療経過を確認しながら、適応があるかを丁寧に判断します。
※デュピクセントには呼吸器など他の病気の承認適応もありますが、このページでは皮膚科でご相談の多い皮膚疾患を中心にご案内しています。
デュピクセントはどのようなお薬ですか
デュピクセントは、インターロイキン4・13の働きを抑えるタイプの生物学的製剤です。
アレルギーや炎症に関わる反応を抑えることで、赤み、かゆみ、湿疹、痒疹結節、膨疹などの改善を目指します。
ステロイド外用薬やタクロリムス外用薬とは異なる仕組みで働くため、外用治療やこれまでの治療だけでは不十分な場合の治療選択肢になります。
皮膚科での主な適応
デュピクセントの皮膚科での主な適応は、次のとおりです。
- 既存治療で効果不十分なアトピー性皮膚炎
- 既存治療で効果不十分な結節性痒疹
- 既存治療で効果不十分な特発性の慢性蕁麻疹
- 中等症から重症の水疱性類天疱瘡
アトピー性皮膚炎で使う場合
ステロイド外用薬やタクロリムス外用薬などで適切に治療しても十分な効果が得られず、強い炎症を伴う皮疹が広い範囲に及ぶ場合に検討されます。
デュピクセントを使う場合も、原則として病変の状態に応じて抗炎症外用薬を併用し、保湿外用薬も継続します。
結節性痒疹で使う場合
ステロイド外用薬などによる治療を行っても、痒疹結節を主体とする病変が多発し、複数の部位に及ぶ場合に検討されます。
特発性の慢性蕁麻疹で使う場合
食べ物や物理的刺激など、じんましんの症状を誘発する原因が特定されず、ヒスタミンH1受容体拮抗薬の増量など適切な治療を行っても、日常生活に支障をきたすほどのかゆみを伴う膨疹が繰り返し続く場合に追加で使用されます。
水疱性類天疱瘡で使う場合
全身性ステロイド薬の投与が必要な中等症から重症の水疱性類天疱瘡で検討されます。
開始時は全身性ステロイド薬と併用し、病勢のコントロールが得られた後に徐々に減量を考えていきます。
当院とデュピクセント
当院は、デュピクセントの治験に関わった経験があります。
そのため、治療の流れや注意点、副作用への配慮も含めて、患者さん一人ひとりの状況に合わせたご相談を大切にしています。
ただし、すべての方にこの治療が最適というわけではありません。
診察では、症状の重症度、これまでの治療、合併症、妊娠の可能性、授乳中かどうかなどを確認しながら、総合的に判断します。
デュピクセントの適応年齢
デュピクセントは、病気によって対象年齢が異なります。
アトピー性皮膚炎の適応年齢
アトピー性皮膚炎では、成人に加えて生後6か月以上の小児にも使用されます。
ただし、低出生体重児、新生児、生後6か月未満の乳児を対象とした臨床試験は実施されていません。
結節性痒疹の適応年齢
結節性痒疹では、成人が基本です。
小児を対象とした臨床試験は実施されていません。
特発性の慢性蕁麻疹の適応年齢
特発性の慢性蕁麻疹では、成人および12歳以上の小児が基本です。
6歳未満の小児を対象とした臨床試験は実施されておらず、6歳以上12歳未満の小児への投与経験も極めて限られています。
水疱性類天疱瘡の適応年齢
水疱性類天疱瘡では、成人が基本です。
小児を対象とした臨床試験は実施されていません。
デュピクセントの用法用量
デュピクセントは、病気や体重によって1回量と投与間隔が異なります。
アトピー性皮膚炎(成人)の場合
通常、初回600mg、その後は1回300mgを2週間ごとに皮下注射します。
アトピー性皮膚炎(小児)の場合
生後6か月以上の小児では、通常、体重に応じて次のように投与します。
| 体重 | 初回 | 2回目以降 | 投与間隔 |
|---|---|---|---|
| 5kg以上15kg未満 | 200mg | 200mg | 4週間ごと |
| 15kg以上30kg未満 | 300mg | 300mg | 4週間ごと |
| 30kg以上60kg未満 | 400mg | 200mg | 2週間ごと |
| 60kg以上 | 600mg | 300mg | 2週間ごと |
結節性痒疹の場合
通常、成人に初回600mg、その後は1回300mgを2週間ごとに皮下注射します。
特発性の慢性蕁麻疹(成人)の場合
通常、初回600mg、その後は1回300mgを2週間ごとに皮下注射します。
特発性の慢性蕁麻疹(12歳以上の小児)の場合
通常、体重に応じて次のように投与します。
| 体重 | 初回 | 2回目以降 | 投与間隔 |
| 30kg以上60kg未満 | 400mg | 200mg | 2週間ごと |
| 60kg以上 | 600mg | 300mg | 2週間ごと |
水疱性類天疱瘡の場合
通常、成人に初回600mg、その後は1回300mgを2週間ごとに皮下注射します。
用法用量の注意点
- 600mgを投与する際には、200mg製剤は使用しません
- アトピー性皮膚炎では、通常、使い始めから16週までに治療反応を確認します
- 16週までに十分な効果が得られない場合は、投与中止を考慮します
- 特発性の慢性蕁麻疹では、24週以降も継続する場合は必要性を慎重に判断します
- 特発性の慢性蕁麻疹で24週間使用しても効果が認められない場合は、漫然と続けないようにします
自己注射について
デュピクセントは、医療機関で投与するほか、十分な説明と指導を受けたうえで自己注射できる場合があります。
自己注射を始める前には、医師または看護師から注射の方法、保管方法、注意点、使用後の注射器の廃棄方法について、十分な説明を受けます。
使用前に確認していること
デュピクセントは、診察のうえで適応を慎重に判断するお薬です。
当院では、主に次のような点を確認しています。
- 病気の重症度
- これまで受けてきた治療内容
- 合併しているアレルギー性疾患の有無
- 寄生虫感染の有無
- 長期のステロイド治療の状況
- 妊娠中または妊娠の可能性
- 授乳中かどうか
- ほかの医療機関で使っている薬
- 自己注射が可能かどうか
使用中に気をつけること
デュピクセントを使っている間は、次のような点に注意が必要です。
- 医師の指示なく、他のアレルギー性疾患の治療内容を変更しません
- 長期ステロイド療法を受けている方は、開始後に急にステロイドを中止しません
- 生ワクチンの接種は避けます
- 寄生虫感染が起こり、抗寄生虫薬で治療しても改善しない場合は、一時的に中止を検討します
- アトピー性皮膚炎では、使用中も保湿外用薬などを続けることが大切です
- 他院を受診する際は、デュピクセントを使用中であることを伝えてください
妊娠・授乳について
妊婦さん、または妊娠している可能性がある方には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与されます。
授乳中の方は、治療上の有益性と母乳栄養の有益性を考慮して、授乳の継続または中止を検討します。
妊娠中や授乳中の方は、必ず受診時にご相談ください。
副作用について
デュピクセントでは、重篤な過敏症に注意が必要です。
アナフィラキシーなどの重いアレルギー反応があらわれることがあります。
また、重大な副作用として、次のようなものが報告されています。
- 重篤な過敏症
- 急性汎発性発疹性膿疱症
- 好酸球増加症
比較的みられる副作用としては、次のようなものがあります。
- 結膜炎
- 口腔ヘルペス
- 単純ヘルペス
- アレルギー性結膜炎
- 眼瞼炎
- 眼乾燥
- 角膜炎
- 注射部位の赤みや腫れ、かゆみ、痛み
- 頭痛
- 発疹
- 発熱
- 関節痛
早めに相談したい症状
次のような症状がある場合は、早めに医療機関へご相談ください。
- 息苦しさ
- 顔や口のまわりの腫れ
- 強いかゆみ、じんましん
- 強いふらつき
- 目の充血、目の痛み、見えにくさ
- 発熱や咳が続く
- 注射後の強い体調不良
このような方はご相談ください
- アトピー性皮膚炎がなかなか改善しない方
- 結節性痒疹で強いかゆみが続いている方
- 慢性じんましんを繰り返している方
- 水疱性類天疱瘡の治療について相談したい方
- 注射による治療を検討したい方
- デュピクセントが自分やお子さんに合うか知りたい方
よくあるご質問
- デュピクセントは何歳から使えますか
-
病気によって異なります。
アトピー性皮膚炎では生後6か月以上、特発性の慢性蕁麻疹では12歳以上が基本です。
結節性痒疹と水疱性類天疱瘡では成人が基本です。 - デュピクセントはステロイドですか
-
いいえ。デュピクセントはステロイドではありません。
炎症に関わる働きを調整する生物学的製剤です。 - どのくらいの間隔で注射しますか
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病気や体重によって異なりますが、2週間ごと、または4週間ごとに注射します。
詳しい投与間隔は、診察のうえで判断します。 - 自己注射はできますか
-
医療機関で十分な説明と指導を受けたうえで、自己注射できる場合があります。
開始前には、医師や看護師から正しい使い方を学びます。 - アトピー性皮膚炎で外用薬はやめてもいいですか
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原則として、抗炎症外用薬や保湿外用薬は続けます。
自己判断でやめず、診察で相談しながら調整します。 - 妊娠中でも使えますか
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妊娠中、または妊娠している可能性がある方は、受診時に必ずご相談ください。
治療上の必要性を考えながら慎重に判断します。